【ドリフト初心者のドリ車造り】STEP-1

車でドリフト走行をやりたいけど、ノーマルからドリ車仕様にするのには何から始めればいいのか、どんな車を選べばいいのか、ドリ車の造りかたなどをご紹介します。

ドリフト初心者の人が無駄な出費を抑えて走りを楽しむことを目的に、車の「イジりかた(チューニング)」を説明していきますので参考になればと思います。



 

ドリ車の代表的な車種

車種一覧表
メーカー名 車種名
/グレード
/排気量
型式 駆動方式
トヨタ カローラ・レビン

1600cc

AE86 FR
スプリンター・トレノ

1600cc

AE86 FR
MR-2

1600cc

AW11 MR
マークII
ツアラーV
2500cc
JZX90
JZX100
JZX110
FR
クレスタ
ツアラーV
2500cc
JZX90
JZX100
FR
チェイサー
ツアラーV
2500cc
JZX90
JZX100
FR
86

2000cc

ZN6 FR
ニッサン 180SX

1800cc

S-13 FR
180SX

2000cc

PS-13 FR
シルビア
ks
1800cc
S-13 FR
シルビア
ks
2000cc
PS-13 FR
シルビア
ks
2000cc
S-14 FR
シルビア
スペックR
2000cc
S-15 FR
スカイライン
Gts-tタイプM
2000cc
R32
R33
FR
スカイライン
GTターボ
2500cc
R34 FR
マツダ ロードスター

1600cc

NA6C
NB6C
FR
ロードスター

1800cc

NA8C
NB8C
FR
RX-7

654cc×2

FC3S FR
RX-7

654cc×2

FD3S FR
スバル インプレッサ

2000cc

4WD
BRZ

2000cc

ZC6 FR
ホンダ シビック

1600cc

EF9
EG6
FF
インテグラ

1800cc

FF

《駆動方式》
FR《フロントエンジン・後輪駆動》
MR《ミッドシップエンジン・後輪駆動》
FF《フロントエンジン・前輪駆動》
4WD《フロントエンジン・四輪駆動》

この他の車種でもできなくはないですが、ドリフト用のチューニングパーツやセッティング術の情報が溢れている人気の車種を挙げてみました。

自動車は同じ車種でもモデルチェンジされ改良されていきます。
年式により前期型、中期型、後期型とあり、外見のデザイン変更やエンジンの改良、部品の強度アップなど、年式が新しいとそれまでの問題点が改善されていたり、新しい機能がついていたりします。
逆にABS、エアバック標準装備などドリフトには必要ないものまでついてきます、、。

ベース車は今はもう中古車でしか手に入れることができないです。
しかも年式が古いため純正部品の入手が困難になりつつあります。壊れたら単品では手に入らないものもあります。

2018年現在、新車で買えるベース車はトヨタ86、スバルBRZぐらいです。

ドリ車の選びかた

ドリ車を選ぶなら一番はやっぱり自分の気に入った車種ですが、ドリフトするならFR車がよいです。
車種毎のドリ車用パーツも豊富にありますし、上達すれば半端ない角度や飛距離で派手に横向けて走れます。

同じ車種でもエンジン排気量の違いやグレードによってターボチャージャー(過給機)付きエンジンとNA(自然吸気)エンジンがありますので、選ぶなら排気量アップ後のターボ付きエンジンのグレードかターボ仕様にチューニングされている車がおすすめです。

ターボがあれば最初からパワーがあるし、今後のチューニングパーツでお金をかけただけのパワーも手にいれられるので体感的にチューニングの醍醐味が味わえます。

パワー(馬力)はおおよそ250ps以上あるとドリフトコントロールがしやすいですし、楽しく走れますので今後のチューニングの目安にしてください。

86やロードスターやシルビアQsなど車種によってはNAでパワーが無くても、軽量コンパクトでブン回して走るNAならではの操る楽しさがありますので、どうしてもターボ車がいいというわけではありません。

ミッションはMT(マニュアル)車とAT(オートマチック)車がありますが「MT車」を選びましょう。

まとめるとFR車でターボ付きのMT車となります。
おすすめは取扱店が多くて社外パーツの豊富なドリフトしやすい「シルビアKs又はスペックR」又は「180SX」か「ツアラーV」です。




 

チューニングパーツは何が必要か

ドリフトを楽しむには「ドリフト三種の神器」ともいわれるパーツが必要です!
これは人それぞれ考えがあると思いますが、ここで推奨させていただくのは下表のものです。

ドリ車の必須パーツ
順番 種類 商品価格帯 取り付け工賃
1 機械式LSD 約10万円 約4万円
2 車高調 約15~25万円 約4万円
3 強化リアブレーキパッド 約1万5千円 約1万円

※料金はおおよその目安です。

これらは初めに買っておいて損はないです。

できればLSDは車を買う時に同時に取り付けておいたほうがよいです。車高調やブレーキパッドは比較的簡単に自分でも交換できますが、LSDは自分で換えるのは大変です。

1)と2)はほとんどの経験者の人が選ぶと思いますが、3)は人それぞれです。
例えば「マフラー」だったり「バケットシート」だったりします。もちろんどれも必要になってきますので、お金持ちさんなら導入してしまってよいでしょう。

L.S.Dについて

L.S.Dとは「リミテッドスリップディファレンシャルギア《Limited.Slip.Defferential.Gear》」の略で、アクセルON時に左右輪をロックして、空転による速度低下や、駆動力が逃げるのを防ぎます。

LSDの作動機構には何種類かありますがドリフトするには強力に作動する機械式がよいです。
機械式には1.5WAYと2WAYの種類があります。

《1.5WAY》
アクセルON時にLSD効果があります。アクセルOFFでLSD効果が弱くなり、オーバーステア(車がイン側に巻き込む)傾向になるので、アクセルのON/OFFで車の向きに変化がつけれるので、カーブで自然な曲がりかたを好む人や、いわゆるグリップ走行はこちらが向いています。

《2WAY》
アクセルONでもOFFでもLSD効果があります。
アンダーステア(車がカーブの外側に逃げていく)傾向になり、曲がりにくいのでオーバースピードでカーブに進入するとコースアウトしやすいです。しかしその特性がドリフト向きともいえ、積極的に横に向けていく人に向いています。

ここでは初心者でも2WAYをおすすめします。
走りにくいと感じる人もいるかもしれませんが、効く効かないに惑わされないでいつでもON状態のほうが操作が安定しますし、慣れてきます。

車高調について

車高調とは「車高調整式サスペンション」の略で、スポーツ走行用にセッティングされたショックアブソーバーやスプリングの組み合わさったもので、ネジを回転することにより車高の上げ下げの調整ができ、スタイルや乗り心地、走りの操作性に大きく影響します。

選ぶポイントは、全長調整式になっている、減衰力調整式であり、防サビ処理済み、オーバーホールが可能な製品でそれに対応できるメーカーのものがおすすめです。

ただ車高を下げるだけのもの、安いものは選ばないほうがいいです。
その理由は、性能がスポーツ走行に向いていなかったり、わずかな距離のスポーツ走行でショックアブソーバからオイル漏れ(ショック抜け)したり、防サビ効果が効いてないか、ネジ部の精度がよくないために砂が噛んで調整ネジが固着してしまい、車高調整のさいに苦しみます。
こういった品質がよくないものだった場合に、また買い換える事になります。

ここはしっかりとしたドリフト専用の車高調、又はサーキット走行対応の車高調を選びましょう。

ブレーキパッドについて

リアブレーキパッドを「初期制動力」の強い「強化パッド」に交換すると、サイドブレーキで後輪をロックしやすくなり、ドリフトのきっかけづくりがやりやすくなります。また飛距離の調整やリカバリーにも使え、単純に車を止めるにも使えるのでおすすめです。

ここで「強化」というふうに言っていますが、これはリアブレーキの強度や耐久力を強くする意味ではありません。
ここでは制動力(止める力)を強めることを指しています。

強化したブレーキパッドに換えると、ブレーキローターを痛めますし、パッドの減りも早くなります。
しかし、それでもその効果はドリフトには必要となります。

サイドブレーキを引いたときに純正のブレーキパッドではなかなかロックしてくれません。その間ハンドルから片手が離れますし、その分次の操作に移るのが遅れるなどでバタバタになりうまく車をコントロールできないです。

リアブレーキパッドは低温からでもガツンとロックしてくれる初期制動力を強化したメタル系のブレーキパッドに換えてドリフト態勢を早くつくれたほうが楽になります。

その一方で、フロントのブレーキパッドは純正のままで大丈夫です。
上達して車速が上がってきたら必要に応じて換えていけばいいと思います。

タイヤについて

ドリフトやスポーツ走行をするうえで重要なのはタイヤです。

初心者でも上級者でもタイヤをうまく使える人は運転が上手ですし、ドリ車の性能も決まります。※個人的感想です。

タイヤの種類やインチサイズ、偏平率(外径)、幅、空気圧を変えてみると操作性は変わります。

特に空気圧は簡単に調整できるので是非やってみて下さい。なんてったって空気はタダですし、調整しないほうがもったいないです。
通常の空気圧は2.1~2.3kくらいにしてあると思いますが、ドリフト初心者の場合はリアタイヤを3.0~4.0kにすると横に向けるきっかけづくりはやりやすくなったりします。反面多少コントロール幅がせまくなります。

逆に1.5kくらいに下げて抵抗力を与えてみたりして、路面状況や天候(晴、雨)状況にあわせたりして試してみてください。

今使っているタイヤでグリップしすぎる場合は、次のタイヤ交換で幅を細くする、偏平率を上げる、タイヤグレードを下げてみて下さい。

グリップが足りない場合は同インチで幅広にするか、インチアップして、幅広にしてみて下さい。もちろんホイールも変える事になります。

タイヤは新品でも中古でもスポーツタイヤがよいです。
エコタイヤや、コンフォートタイヤは定常円でグルグル回っている場合はいいですが、コースを走ってスピードが出る場合にコントロールしにくいですね。※個人的感想です。

※ここで個人的にコントロールしにくいと言っている状態は、「一気にスピンしやすい」、「アンダーステアから回復しない」、「角度にたえれない」、「前に進まない」などを指しています。

タイヤは中古品でゴムが硬化しているものやヒビの入っているなどの程度の悪い本来の性能が失われている中古タイヤを揃えるより、新品で毎回同じ性能又は同レベル以上で練習していくことをおすすめします。

近年はアジアンタイヤ(海外メーカーの輸入タイヤ)の普及により、新品で安価に手に入りますし、ドリフトするのに充分な性能です。




 

サーキット走行に必要な装備

車を走らせることが好きな人の目標は「サーキット走行」ですよね。
サーキットを走るには安全面に配慮した装備品が必要です。
これはサーキット毎に運営者から定められた条件ですので、自分のホームコースにしたいサーキットの使用条件を確認して下さい。
下表の装備品はどのサーキットでも必要になるものです。

サーキット走行での装備品
順番 装備品の種類 商品価格帯 注意点
1 ヘルメット 約1~5万円 フルフェイス又はジェットタイプ
半キャップはダメです。
2 レーシンググローブ 約5千円~2万円 軍手はダメです。
ホームセンターのものでも革製のものがよいです。
3 4点式シートベルト 約1.5~5万円 任意ではありますが、クラッシュ時や横転時の安全のためです。脱出時に解除しやすいです。
※純正3点式は体がつっぱってロックが外しにくくなる場合があります。

※料金はおおよその目安です。

これに加えサーキット使用料金もかかります。
スポーツランド的な所でだいたい5000円くらいです。
ドリフトを始めるには最初にこれだけの費用がかかります。ここで紹介したものを揃えてやっとスタートです。

車はノーマルのままでもサーキットは走れますので経験しておいて損はないです。

タイヤは2セット以上は用意しておく事をおすすめします。自走の場合は帰りのタイヤを考慮しましょう。




 

まとめ

ドリ車を造るにあたっては好みの車種を長く乗ることを前提に車種選び、パーツ選びを考えたほうが無駄なお金を使わないですし、運転の上達も早いです。

よくある失敗パターンは
目的のないまま必要以上にチューニングパーツを組む→車が壊れる→修理代にお金がかかる→修理で車に乗れない→面白くなくなる→ひさしぶりにドリフト→車が壊れる→お金がなくなる

と、だんだんドリ車を持つことが負担と感じるようになってきてしまいます。

運転レベルに合わない過度なカスタムやチューニングをしてしまうと乗りにくくなる場合もあります。

サーキットで見かけた時に、止まっている時間のほうが長い外見重視の走れないドリ車より、最低限の装備でバリバリ走るドリ車がカッコイイです。

自分に合った理想的なドリ車を造るためにはしっかりとチューニングプランを考えてから行いましょう。

ドリフトは「車の性能=8割、運転技術=1割、頭脳=1割」です※個人の見解です。

ドリ車はドリフトする事が目的です。
チューニングの順番を間違えると走れない車に仕上がってしまう事もありますので、ドリ車を造るのか、ドレスアップカーを造るのか方針を決めてカスタムを進めて下さい。
両方を進めても中途半端なものになってしまいます。

ドリフトを始めた最初はガソリンとオイルとタイヤにお金をかけて、走ることを楽しみながら、自分の運転レベルに応じてコツコツとチューニングを進めていくことをおすすめします。